整形外科と災害外科
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血行再建術を必要としたHypothenar Hammer Syndromeの1例
櫻井 真中川 広志山口 史彦原 康二花田 弘文藤原 明吉村 豊暢原 道也岩隈 昭夫
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2010 年 59 巻 3 号 p. 489-492

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抄録

15歳男性.主訴は右環指の冷感.3年間の野球経験あり.2009年7月初旬,右小指球部を床で打撲した.受傷3週後より右環指の冷感を自覚したため当院初診となる.右尺骨動脈でAllen test陽性であり,指尖部温度は右環指28.0℃と健側と比し-4.5℃と低値を示しており,他指も軽度ではあるがそれぞれ低下していた.超音波検査では有鉤骨やや遠位のレベルで尺骨動脈に動脈瘤を認め,同部位より末梢では血流を認めるものの,橈骨動脈を圧迫することによりその血流が微弱化することが確認できた.指尖脈波は右環指で振幅の低下を認めた.血管造影検査では尺骨動脈の末梢側で高度の狭窄がみられ造影遅延が認められた.狭窄部より末梢の血管は比較的スムーズであったが浅手掌弓へのフローは確認できなかった.以上より右Hypothenar Hammer Syndromeと診断し,動脈瘤切除及び血行再建術を施行した.術後約1カ月の時点で指尖部温度・脈波ともに改善し,症状も消失している.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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