整形外科と災害外科
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大腿骨転子部骨折及び転子下骨折における鋼線締結を併用した手術の工夫
弓削 英彦久我 尚之萩原 博嗣寺本 全男花田 麻須大水城 安尋志田 義輝
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2010 年 59 巻 3 号 p. 639-643

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抄録

【目的】大腿骨転子部及び転子下骨折に対する内固定法の発展によりその成績は飛躍的に向上したが,まれにカットアウト等の合併症が出現する.その原因は主に整復不良,ラグスクリュー挿入位置不良である.我々は閉鎖的整復不良な症例に対しては積極的に観血的整復を行っている.整復位を鋼線締結で保持しCHSあるいはγネイルで内固定することで術後内反変形やカットアウトを防ぐことができた症例を報告し,その適応について考察する.【対象と方法】鋼線締結を併用しCHSあるいはγネイルを行った大腿骨転子部及び転子下骨折の10例である.平均年齢は76.7歳だった.骨折型をAO分類で分類した.【結果】全例でカットアウト等の合併症なく骨癒合した.荷重までの期間は平均23.5日だった.【結語】閉鎖的整復不良な症例に対しては内固定材の固定力を過信することなく観血的整復を行い,正確な整復位での内固定を目指すことで良好な成績が期待できる.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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