整形外科と災害外科
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腰椎棘突起縦割還納式後方除圧術の棘突起癒合と術後合併症に関して
藤井 幸治成瀬 章武田 芳嗣後藤 知宏岩目 敏幸高砂 智哉近藤 研司
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2010 年 59 巻 3 号 p. 670-673

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抄録

腰部脊柱管狭窄症に対するspinous process splitting laminectomyは傍脊柱筋に対して低侵襲で,良好な視野・working spaceを確保できることが報告されている.しかし棘突起切離はその後方荷重・伸展制限機能を障害する可能性があるため,われわれは2008年4月より切離棘突起を還納する手技を開発し棘突起縦割還納式後方除圧術を開始した.手術方法:原法と同様に棘突起を正中で左右に縦割後基部で切離し展開.頭側,外側のトランペット状椎弓切除後,縦割した左右棘突起及び切離棘突起と基部をultra high molecular weight polyethylene糸で縫合する.術後6ヵ月でCTを撮影できた19例,31棘突起を調査した.JOA scoreは術前11.6点が術後6ヵ月で23.0点に有意に改善した.縦割した左右棘突起は87%で癒合し,仮骨形成を含めると100%であった.切除棘突起と基部は19%で癒合し,仮骨形成を含めると71%であった.画像上の除圧は良好であり,合併症はなかった.長期経過観察が必要であるが,腰部脊柱管狭窄症に対する新しい手術方法になると思われた.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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