2011 年 60 巻 1 号 p. 125-129
化膿性筋炎は骨格筋に生じる稀な細菌感染症であり,仙腸関節炎とともに化膿性股関節炎との鑑別が重要となる.症例1は4歳女児で,3日間持続する発熱,右下腹部痛,右股関節痛を主訴に来院.化膿性股関節炎を疑いMRIを行ったが,罹患部位は股関節周囲の筋層にあり,化膿性筋炎と診断された.同日,血液培養検査とともに同部の膿瘍穿刺を試み,筋層部より膿を採取した.細菌培養検査で起炎菌が肺炎球菌と判明し,抗生剤を投与後,症状改善.症例2は12歳女児で,主訴は発熱,右殿部痛.MRIで,仙腸関節および股関節周囲筋群にSTIRで高信号を認めた.血液から黄色ブドウ球菌が検出され,安静と抗生剤による治療を開始.抗生剤に反応し,臨床所見の改善を認めた.発熱および局所の疼痛・腫脹を認めた場合,化膿性股関節炎との判別も含め化膿性筋炎,仙腸関節炎を念頭に置き,診断,治療を行うことが有用である.