整形外科と災害外科
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保存的治療により骨癒合が得られた小児歯突起骨折の1例
川口 耕平中原 信一崎村 幸一郎衛藤 正雄
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2011 年 60 巻 3 号 p. 417-421

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抄録

比較的稀な小児歯突起骨折症例の1例を経験したので報告する.症例は10歳男児.主訴:頚部痛.既往歴:脳性麻痺(低緊張型).現病歴:平成21年4月20日自動車の後部座席乗車中に後方から自動車に追突され受傷した.翌日当科受診した.著名な頚部痛を認めたが,身体所見では脳性麻痺による四肢不全麻痺あるものの新たに招じた麻痺はなかった.CTにて後方転位した軸椎歯突起骨折Anderson分類type 2を認め,8週間フィラデルフィア装具にて保存治療行い,骨癒合が得られ良好な経過となった.一般に幼小児の脊椎は柔軟で弾力性に富み,生理的可動域も大きいため脊椎損傷は稀とされおり,小児歯突起骨折は報告例が少ない.受傷した場合も患者の協力が得がたく臨床所見の把握が困難であることが多いが,損傷を見落とすと成人同様に偽関節を形成し,環軸関節が不安定となる危険性があるため注意が必要であると考えられた.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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