整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
当院における大腿骨近位部骨折パスの有用性
泉 政寛野口 康男力丸 俊一佛坂 俊輔前 隆男佐々木 宏介井口 貴裕白木 誠永野 賢久保 祐介
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 60 巻 3 号 p. 491-494

詳細
抄録
【目的】当院では,2009年3月より大腿骨近位部骨折に対して電子パスを用い,治療方針の標準化・医療の質の向上を図っている.その具体例として今回,DVT/PE予防にどのように関わっているかを検討した.【対象と方法】電子パス運用開始後の大腿骨近位部骨折手術例53例と運用開始前53例を対象とした.これら2群の抗血栓薬の使用状況,術後7日目のD-dimer測定状況を比較した.また,抗血栓薬使用のあり群となし群で分けて術後7日目のD-dimer値,術後DVT/PEの発症数を比較した.【結果】血栓予防薬の使用状況は電子パス運用前26.4%,電子パス運用例81.1%であった.術後7日目のD-dimer値は電子パス運用前では88.7%,電子パス運用例では96.2%で測定されていた.血栓予防薬使用群のD-dimer値は8.10でDVT/PEは認めなかった.一方,血栓予防薬非使用群のD-dimer値は10.75でDVT/PEを5例認めた.【結論】電子パスを運用することで薬剤使用の標準化が図られ,DVT/PE発生の予防に効果があった.
著者関連情報
© 2011 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top