整形外科と災害外科
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高齢者の大腿骨近位部骨折患者におけるビタミンK不足状態
―低カルボキシル化オステオカルシンを用いた検討―
吉川 和彦松瀬 博夫山内 豊明志波 直人
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2011 年 60 巻 4 号 p. 768-772

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抄録

高齢者大腿骨近位部骨折患者のビタミンK不足について,血清低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)を測定し検討した.骨代謝に影響を与える既往歴がない大腿骨頸部骨折及び大腿骨転子部骨折患者(女性29名,年齢79.9±8.8歳)を骨折群,性と年齢を合わせた整形外科外来患者を対象群(女性30名,年齢78.3±6.6歳)とした.血清I型コラーゲン架橋N-テロペプチド(血清NTx),血清ucOC,血清アルブミン(Alb),血清カルシウム,アルカリフォスファターゼ,前腕部骨密度を測定し,unpaired t-testにて比較した.【結果】骨折群の血清ucOCは,8.46±6.2ng/mLで,対象群の,4.77±2.8ng/mLより有意に大きかった(p<0.01).血清NTxは,骨折群が対象群よりも有意に高値(p<0.01),Albは,骨折群が対象群より有意に低値であった(p<0.01).【考察】大腿骨近位部骨折にビタミンK不足が影響していたと考えられた.血清ucOCを適宜評価することは,大腿骨近位部骨折の予防に有用であると思われる.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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