整形外科と災害外科
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寛骨臼移動術後に発生した恥骨疲労骨折の検討
桑島 海人中島 康晴山本 卓明馬渡 太郎糸川 高史本村 悟朗大石 正信秋山 美緒岩本 幸英
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2012 年 61 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

骨盤骨切り術の稀な合併症として恥坐骨の疲労骨折がある.今回我々は寛骨臼移動術後の恥骨疲労骨折の発生例を調査した.対象は2001年から2010年の間に当院で寛骨臼移動術を施行した229例251関節(男性23例,女性206例,手術時年齢42.8歳)である.骨折の診断は疼痛およびX線で確認し,その頻度や発生時期および影響する因子について検討した.恥骨骨折は9例9関節(3.6%)に認めた.その時期は術後平均1.6ヶ月であり,すべて術後2ヶ月以内で発生していた.多変量解析では年齢(p=0.014),BMI(p=0.003),骨片の回転角度(p=0.0045)が有意な影響因子であり,骨片を大きく移動させた例で骨折発生が認められた.そのオッズ比は回転角度1度あたり1.2倍であった.全例経過観察のみで骨癒合が得られた.恥骨の疲労骨折は寛骨臼移動術後早期の合併症として注意を要する.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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