2012 年 61 巻 1 号 p. 32-35
当院では脱臼予防指導負担の軽減,術後早期歩行能力獲得を目的に,大腿骨頚部骨折に対してはdirect anterior approach(以下DAA)による人工骨頭置換術を行っている.対象は2009年10月以降の1年間に手術を行った29例(男性5例,女性24例).手術時年齢は77.9±8.4歳(59~92歳).骨折型分類(Garden分類)はstage3型9例,stage4型19例,不明1例である.変形性股関節症に対するTHAと比較して,展開がやや困難であり,術中合併症が多い印象であった.侵襲の少ない優れた展開法であるが,術前ADL,既往症を考慮して選択するべきである.