整形外科と災害外科
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脊椎手術後硬膜外血腫の検討
―危険因子としての高血圧を中心に―
時岡 孝光土井 英之
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2012 年 61 巻 4 号 p. 658-662

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抄録

当院で経験した術後脊椎硬膜外血腫は8症例で発生頻度は0.53%であった.血圧管理開始以前は6例で,術前の併存症は4例(66.7%)が高血圧,2例が肝障害の既往があり,術中出血量は平均217gであった.術後の血圧は1例を除いて160mmHgを超え,5例(83.3%)は術後高血圧状態だった.麻痺はFrankel Aが2例,Cが2例,Eが2例であった.5例が病棟で創を開放して麻痺は回復し,後日創閉鎖術を行った.塩酸ニカルジピン点滴静注による血圧管理を開始した2010年5月以後は血腫が2例に発生し,出血傾向があり,平均の術中出血量は825gであった.麻痺は2例ともFrankel Cで,保存的に治療した.ニカルジピン持続静注によって血圧管理することで術後血腫の発生を抑制できた.しかし,出血傾向,DICなどがある例の手術には課題を残す.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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