抄録
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)症例106例を後ろ向きに調査し,家族歴,受動喫煙,スポーツ歴,内側上顆下端障害とOCD予後との関連を検討した.その結果,9.2%に家族歴があり,受動喫煙率は78.2%と高率であった.家族歴,受動喫煙率とOCDおよび橈骨頭予後の間には明らかな関連は認められなかった.スポーツは89.6%が野球で,投球動作のない水泳・新体操(1.9%)もあった.X線像上,少年野球選手に対し体操選手は上腕骨小頭後方に病巣が描出されていた.内側上顆下端障害は,初診時内側上顆下端に分離骨片を認め,最終調査時癒合が認められた群(type I),非癒合群(type II),初診時から変形治癒が認められた群(type III),変形が認められなかった群(type IV)に分類され,OCD及び橈骨頭の予後は,type IVは全例良好で,type IIで不良例の割合が高かった.また,初診時に骨端線が開存していた群は閉鎖後群に比べて予後が良好であった.