整形外科と災害外科
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MRIにて継時的変化を観察した小児化膿性仙腸関節炎の1例
荒木 貴士池田 倫太郎飯岡 隆朝長 匡
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2015 年 64 巻 4 号 p. 750-754

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抄録

外傷を契機に発症した化膿性仙腸関節炎に対し保存的治療を行い,発症後10ヵ月時点までMRIにて経過観察を行った症例を報告する.【症例】13歳,女児.ストレッチ中に股関節内転,内旋を強制され受傷.徐々に左股関節痛増強し歩行困難となり受傷9日目に初診.初診時MRI STIR像で左仙腸関節の腸骨側で高信号を認め腸骨骨挫傷の診断で入院となった.受傷14日目に発熱,炎症反応の上昇を認め抗菌薬投与を開始した.その後血液培養でS. aureusが検出され化膿性仙腸関節炎と診断した.安静,抗菌薬投与により炎症反応は低下し疼痛も改善,受傷46日目に退院となった.発症10ヵ月までMRIにて経時的な観察を行い,病状の再発はなく機能障害も認めない.【考察】化膿性仙腸関節炎は比較的稀な疾患であり非特異的な理学所見のため診断まで時間を要すことが多い.診断にはMRIが有用で急性期には炎症所見がみられる.約10ヵ月時点で仙腸関節の一部に変性所見を残し炎症所見は消退した.

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© 2015 西日本整形・災害外科学会
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