2016 年 65 巻 1 号 p. 174-175
要旨:症例は74歳男性.他院にて上腕骨近位端骨折を認め,保存加療を受けていた.経過中に再転倒し,左肩の腫脹増大を認め,検査にて腋窩動脈瘤を認めた.ステント留置を施行されたが,左上肢壊死を認め,当院救急搬送され同日血管塞栓術・肩関節離断術を施行した.その後,一度落ち着いたが,創部に深部感染を起こし,洗浄・デブリドマン・肩甲骨切除術を施行した.だが,術後再び左肩腫脹し,下行肩甲動脈末梢より動脈性の出血を認め,血管塞栓術・血腫除去術を施行した.その後は,寛解増悪を繰り返し永眠された.上腕骨骨折に仮性動脈瘤が合併することは稀ではあるが,早期診断が重要な合併症となる.早期には症状が揃わないことも多く,疑った場合は検査を行い早期に診断対応していくことが重要である.