【目的】人工膝関節置換術の術前計画におけるCTスライスを用いた大腿骨側の回旋アライメントの決定法の誤差を検討すること.【対象と方法】術前50膝のCTデータから大腿骨上顆軸と後顆ラインのなす角度を整形外科医3名が最適と判断したスライスと,その上下2スライスの計5スライスで計測した.【結果】最適スライスが3検者とも一致したのは24%(12膝)であった.検者間の角度差は平均では1.3°と僅かだったが,症例によっては最大5.1°の差があり,20%(10膝)で2°以上の差を認めた.3次元骨モデルで測定した値との比較では,症例によっては最大6.2°の差があり,18%(9膝)で2°以上の差を認めた.また最適スライスから1スライスずれると最大3.6°,2スライスずれると最大5.3°の差が生じた.【考察】CTスライスのみで回旋アライメントを決定する方法は誤差が生じやすく,正確な評価のためには3次元骨モデル・解析ソフトなどを併用する必要がある.