整形外科と災害外科
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脆弱性脛骨近位部骨折の3症例
渡邉 航之助古市 格小河 賢司井上 拓馬秋山 隆行川口 耕平杉山 健太郎
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2016 年 65 巻 2 号 p. 215-219

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抄録

脆弱性骨折とは骨密度の低下が原因で軽微な外傷で生じる骨折で,原因として,骨粗鬆症,骨軟化症,長期透析,糖尿病,関節リウマチなどが挙げられる.今回,特に誘因となる外傷なくおこった脆弱性脛骨近位部骨折の3症例を経験した.症例1は66歳女性でステロイド糖尿病を合併していた.症例2は29歳女性で1型糖尿病を合併していた.症例3は59歳女性で関節リウマチを合併していた.症例1,2では初回単純X線写真ではあきらかな骨折認めず,保存的に経過観察され,症例3では骨折あるも他医で保存的に経過観察されていた.しかし保存的加療中に3症例とも膝内反変形の進行を認めたため,矯正骨切り,自家骨骨移植,内固定術施行し,下肢アライメント改善し,骨癒合を確認した.本骨折を引き起こす可能性のある基礎疾患がある症例では,保存的治療では膝内反変形を引き起こす可能性が高く,CT,MRIを用い早期に診断かつ早期観血的治療も念頭にいれるべきである.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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