整形外科と災害外科
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腰椎化膿性椎間関節炎の2例
密川 守副島 修伊藤 伸一白濱 善彦志波 直人
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2016 年 65 巻 2 号 p. 253-256

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抄録

非常に稀である化膿性椎間関節炎を2例経験し,一例は保存的に,もう一例は緊急排膿ドレナージを施行し,良好な経過を得たので報告する.症例1)62歳女性.腰痛と微熱,体動困難で救急搬送.画像検査でL3/4左椎間関節から左傍脊柱筋に沿って膿瘍を認めた.血液培養でMSSA認め,抗生剤にて保存的に治療し,腰痛無く完治した.症例2)64歳女性.激烈な腰痛と右下肢放散痛で救急搬送.画像検査でL4/5右化膿性椎間関節炎と巨大な膿瘍を認め,脊柱管内への膿瘍の進展を認めた.当日緊急で排膿ドレナージを施行.培養でMSSAを認め,抗生剤投与併用し,腰痛無く完治した.両症例とも臨床症状,血液検査では化膿性脊椎炎との鑑別困難であるが,画像検査にて診断は容易であった.また化膿性椎間関節は感染の主座が硬膜より背外側にあるため,感染巣の直接の掻把・ドレナージが容易であり,感受性のある抗生剤に対する反応性も良好であった.

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© 2016 西日本整形・災害外科学会
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