整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
観血的整復術を要した上腕骨近位骨端離開の1例
平田 健司加藤 秀豊山縣 紀子桑田 憲幸
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 66 巻 3 号 p. 467-470

詳細
抄録

上腕二頭筋長頭腱が整復阻害因子となり,観血的整復術を要した1例を経験したので報告する.症例は12歳女性,Salter-Harris分類type2,Neer-Horwitz分類Grade3.全身麻酔下に徒手整復を試みるも整復不能.Delto-pectoral approachで展開し,骨折部に陥入していた腱を解除することで整復可能であった.整復後はKirschner鋼線で経皮的に固定.術後3ヶ月で骨癒合が得られ,機能障害はない.過去には上腕骨近位骨端離開に対しては機能的予後が良好であることから保存的治療を勧める文献が多かった.しかし最近の報告では転位の許容できない年長児に対しては手術的治療が望まれる.また整復阻害因子のため徒手整復困難であったとする報告も散見され,転位が許容できず徒手整復が困難であれば,上腕二頭筋長頭腱の陥入などが原因である可能性を考慮し,手術的治療を検討すべきである.

著者関連情報
© 2017 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top