整形外科と災害外科
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後脛骨筋腱脱臼に対する観血的脱臼制動術の経験
小田 大嘉吉村 一朗金澤 和貴萩尾 友宣蓑川 創石橋 卓也山本 卓明
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キーワード: 後脛骨筋腱, 脱臼, 手術, 診断
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2017 年 66 巻 3 号 p. 545-547

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抄録

【目的】比較的稀な後脛骨筋腱脱臼に対して観血的脱臼制動術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】38歳女性,歩行中に自動車と接触し受傷.右足関節内側に疼痛が出現したため某医を受診し,保存療法を行われたが疼痛が持続するため当院紹介受診となった.当院受診時足関節内果後方に軽度腫脹,圧痛を認め,つま先立ちは疼痛のため困難であった.単純X線,MRIでは明らかな異常を確認できなかった.経過観察するも症状が改善しないため,3D-CTを撮影したところ後脛骨筋腱脱臼を認めた.受傷後8ヶ月に後脛骨筋腱脱臼に対し,観血的脱臼制動術を施行した.後脛骨筋腱は内果直上に脱臼しており,扁平化していた.整復するも容易に脱臼したため,腱溝を形成し,屈筋支帯を縫着した.術後6ヶ月経過した時点では,症状は改善し再脱臼なく経過良好である.後脛骨筋腱脱臼は診断に難渋することが多いとされる.外傷後の内果後方の疼痛を認めた場合は,本疾患も鑑別診断に挙げておく必要がある.

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© 2017 西日本整形・災害外科学会
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