2018 年 67 巻 1 号 p. 147-150
比較的稀な10代の肘部管症候群3例について報告した.2013年4月から2017年1月まで肘部管症候群の診断で尺骨神経前方移行術を施行した72例のうち,10代の症例で術後6か月以上のフォローが可能だった3例を対象とした.平均18.7(18-19)才,全例男性で投球時の内上顆の痛み,尺骨神経症状などを有した.筋萎縮はなく赤堀の分類第1期であった.臨床所見,神経伝導速度検査,手術所見,Mayo Elbow Performance Score(以下,MEPS),JOA-JES scoreを評価した.全例,内上顆周辺の圧痛,Tinel徴候のみで神経伝導速度に特記すべき所見は認めなかった.手術では内上顆付近の軽度の神経絞扼を認めた.全例機能スコアの改善を認めた.野球の投球に関連する肘部管症候群においてスポーツのパフォーマンス改善のために,尺骨神経前方移行術を施行することが重要であると考えられた.