2018 年 67 巻 4 号 p. 762-764
【初めに】今回,我々は骨盤輪後方要素の損傷を伴う骨盤骨折の3例に対しSpino-pelvic fixation(SPF)による後方要素の固定を施行したので報告する.【症例】①26歳男性.5階から転落して受傷した.両仙骨骨折(ZoneⅡ),左恥坐骨骨折を認め,左腸骨は上方へ転位していた.SPFによる骨盤輪後方要素の固定と,CCSを用いて恥骨の内固定を施行した.②82歳女性.歩行中に乗用車にはねられて受傷した.両仙骨骨折(ZoneⅡ)と,両恥坐骨骨折を認めた.SPFによる骨盤輪後方要素の固定とCCSを用いて恥骨の内固定を施行した.③65歳男性.農作業中にトラクターとポールに挟まれて受傷した.左仙骨骨折,恥骨結合離開を認め,左腸骨は上方へ転位していた.また,右仙腸関節脱臼骨折,右恥坐骨骨折を認めた.左片側のSPFによる骨盤輪後方要素の固定,恥骨結合のプレート固定を施行した.【結論】SPFは骨盤輪後方要素の損傷に対する固定に,有用な方法の一つであると考える.