整形外科と災害外科
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トラベクテジン投与後に横紋筋融解症,全身性毛細血管漏出症候群を生じた1例
富田 雅人野村 賢太郎尾﨑 誠
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2020 年 69 巻 1 号 p. 20-22

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抄録

トラベクテジン投与後に横紋筋融解症(RML)と全身性毛細血管漏出症候群(SCLS)を生じた症例を経験したので報告する.[症例]48歳,男性.診断:右鎖骨上窩脱分化脂肪肉腫.[現病歴と経過]右手の痺れを自覚し前医を受診し当科紹介受診.A+I療法を3クール行ったが効果無くトラベクテジンを開始.5クール目の投与後退院.退院翌日から倦怠感,気分不良,両大腿痛が出現.退院6日目に体動困難となりRMLと診断し緊急入院.血圧低下,尿量減少し,ICUにて全身管理を開始.血圧維持のため大量輸液,アルブミン輸液を要し著明な全身浮腫を生じた.徐々に全身状態は改善し48病日ICU退室.リハビリ後148病日に退院した.[考察]RMLはトラベクテジンの重篤な有害事象である.本症例はICU管理によって回復した.ICU管理中に低血圧(ショックバイタル)であったこと,低アルブミン血症,高度の全身浮腫を生じたことから,SCLSを併発したと考えられる.

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© 2020 西日本整形・災害外科学会
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