2023 年 72 巻 2 号 p. 232-235
71歳,男性.自宅で就寝中に左肘腹側をハブに咬まれて受傷し,5時間後に当院を受診した.救急外来で抗生剤・破傷風トキソイド・抗毒素血清の投与を行った.前腕から上腕にかけて腫脹が著しく,コンパートメント症候群と診断し,受傷後7時間で緊急筋膜切開を施行した.手掌部から前腕掌側皮膚に波状皮膚切開行い,掌側筋膜,前腕背側,背側筋膜を切開した.皮膚は開放創とし局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy;NPWT)を開始した.術後6日間はICUで管理した.第2・第9・第11病日にデブリドマンを行いNPWTを継続した.第21病日に皮膚欠損部に対し左大腿より全層植皮を施行した.術後2年経過し,手関節伸展90°/屈曲70°,前腕回外70°/回内90°と可動域制限を認めたが握力は24㎏(健側29㎏)で日常生活や仕事に支障はない.