整形外科と災害外科
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特発性手根管症候群患者における電気生理学的重症度と患者立脚度評価尺度の年齢層別の関連性について
山口 雄一浅見 昭彦橋本 哲田島 智徳伊藤 恵里子梅木 駿
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2023 年 72 巻 2 号 p. 284-286

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抄録

【目的】特発性手根管症候群(CTS)の電気生理学的重症度と患者立脚型評価尺度(Hand20)との関連性について年齢層別に検討することである.【対象と方法】2013年5月から2016年1月に当院で特発性CTSに対し鏡視下手根管開放術を行った152例179手のうち,術前にHand20を評価した29例32手を対象とし,60歳未満と60歳以上の2群に分け,術前の短母指外転筋運動神経終末潜時(APB-TL)とHand20との関連について調査した.【結果】60歳未満では,APB-TLとHand20の項目6にのみ有意な正の相関を認めた.60歳以上では,APB-TLとHand20に有意な相関を認めなかった.【考察】項目6は,CTSで障害される筋肉の一つであるAPBに関連する単純な動作についての項目である.そのため,60歳未満のCTS患者では,APBの筋力低下がCTSの重症度の指標となりうることが示唆された.一方で,60歳以上のCTS患者では,変形性母指CM関節症の罹患率が高く,それに伴うAPBの筋力低下の影響もあるためにAPB-TLとHand20に相関を認めなかったと考えられた.

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© 2023 西日本整形・災害外科学会
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