一般に栄養状態は蛋白,エネルギーの両面から評価する.前者の指標は血清アルブミン濃度,上腕三頭筋周囲径であり,後者の指標は間接熱量測定とくに非蛋白呼吸商,上腕三頭筋部皮下脂肪厚,body massindexである.これらを用いて肝硬変患者の栄養状態を評価すると高頻度に蛋白·エネルギー低栄養状態protein-energy malnutrition(PEM)が認められる.PEMは肝硬変患者の無イベント生存率,生活の質を規定し,治療には分岐鎖アミノ酸製剤,分割食(夜食)が有効である.なお近年,肝硬変でも肥満者が増加し,このような患者では肝発癌のリスクが上昇することが注目を集めている.