日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ:自己免疫性肝炎診療のポイント
原発性胆汁性肝硬変とのオーバーラップ
田中 篤
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2011 年 108 巻 11 号 p. 1845-1851

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抄録

自己免疫性肝炎(AIH)と原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病像が同時に,あるいは異時性に同一患者に併存することがある.この病態はAIHとPBCの「オーバーラップ症候群」と呼ばれてきたが,その疾患概念は曖昧で診断基準も確定していない.2010年にAIHの専門家グループから「オーバーラップ症候群」という疾患概念は不適切であるというstatementが発表されており,このような病態はAIHないしPBCいずれかの特殊型として捉えるのが妥当と思われる.治療については2010年,厚労省研究班から,診断時にPBC診断基準および簡便化AIHスコアリングシステムをともに満たす症例では,ウルソデオキシコール酸に加えてステロイド併用投与を推奨するという指針が出されている.

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© 2011 (一財) 日本消化器病学会
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