日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
総説
B型肝炎ウイルスに対する治療の進歩
糸瀬 一陽萩原 秀紀林 紀夫
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2011 年 108 巻 2 号 p. 189-195

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抄録

B型慢性肝炎は宿主の免疫応答とウイルスの増殖能のバランスにより,その病態が決定する.これまではこれらの機序に対応する形で治療法が発展してきた.現在は強力なウイルス抑制効果を持つ核酸アナログ製剤が広く用いられているが,耐性ウイルスや投与中止時期の問題など,今後解決が必要な課題が残されている.一方,ペグインターフェロンや新たな核酸アナログ製剤など新規薬剤の臨床試験が進行しており,今後本邦でも使用可能になることが期待されている.これらの薬剤も含め,最も効果が高く耐性ウイルスの出現の少ない至適な投与法や併用療法を探索し,B型肝炎の完全制圧が達成できるような治療法の進歩が期待される.

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© 2011 (一財) 日本消化器病学会
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