日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
108 巻 , 2 号
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総説
  • 糸瀬 一陽, 萩原 秀紀, 林 紀夫
    2011 年 108 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎は宿主の免疫応答とウイルスの増殖能のバランスにより,その病態が決定する.これまではこれらの機序に対応する形で治療法が発展してきた.現在は強力なウイルス抑制効果を持つ核酸アナログ製剤が広く用いられているが,耐性ウイルスや投与中止時期の問題など,今後解決が必要な課題が残されている.一方,ペグインターフェロンや新たな核酸アナログ製剤など新規薬剤の臨床試験が進行しており,今後本邦でも使用可能になることが期待されている.これらの薬剤も含め,最も効果が高く耐性ウイルスの出現の少ない至適な投与法や併用療法を探索し,B型肝炎の完全制圧が達成できるような治療法の進歩が期待される.
今月のテーマ:B型慢性肝炎に対する最新の治療
  • 池田 房雄, 小橋 春彦, 山本 和秀
    2011 年 108 巻 2 号 p. 196-201
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルスの増殖に必須であるポリメラーゼは校正機能がなく,核酸アナログ製剤の長期的使用で薬剤耐性変異を生じやすい.特にlamivudine耐性変異の出現率は経過とともに増加し,治療5年後で80%と高く,8年以上経って耐性変異がおきた報告もある.lamivudine耐性例の治療は,lamivudineとadefovirとの併用療法が基本と考えられる.薬剤耐性変異の出現率はadefovirへの切り替えでは治療2年後で20%,entecavirへの切り替えでは15%と高率だが,adefovir追加併用投与では0~1.6%と低率である.今後の課題はadefovir追加併用治療抵抗例の治療である.
  • 小関 至, 木村 睦海, 荒川 智宏, 中島 知明, 桑田 靖昭, 赤池 淳, 大村 卓味, 佐藤 隆啓, 狩野 吉康, 豊田 成司
    2011 年 108 巻 2 号 p. 202-209
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    ラミブジン(LAM)とアデホビル(ADV)併用療法を12カ月以上行い,HBV DNAが3log copies/ml以上を示したB型慢性肝疾患18例を対象とし,48週以上ADVとエンテカビル(ETV)の併用療法を行いウイルス動態についての検討を行った.LAM耐性例,ADV耐性例,ETV耐性例,多剤耐性例はそれぞれ100%,27.8%,33.3%,55.6%であった.平均HBV DNAはベースラインで4.1log copies/mlより48週の時点で2.9log copies/mlと低下した.ETV耐性を有する症例でHBV DNA減衰量は低下した.本併用療法による副作用は出現せず,48週の経過で新たに獲得したアナログ耐性は認めなかった.テノホビル(TDF)が使用できない本邦の現状ではLAMとADV併用不応例に対して,ADVとETV併用療法は試みるべき治療と思われた.
  • 保坂 哲也, 鈴木 文孝, 熊田 博光
    2011 年 108 巻 2 号 p. 210-214
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎に対する治療法は,現在インターフェロン(IFN)療法と核酸アナログ製剤が主体となっている.特に核酸アナログ製剤の治療効果は高く,アデフォビルやエンテカビル承認後は,耐性ウイルスの出現は低率となってきている.しかしながら,少数例ながらもエンテカビルやアデフォビル耐性変異出現症例も認めるようになった.このような症例に対する対策が望まれるところであるが,テノフォビル投与はその有効な治療法の1つと考えられる.
  • 榎本 大, 田守 昭博, 西口 修平, 河田 則文
    2011 年 108 巻 2 号 p. 215-222
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    B型慢性肝炎に対する核酸アナログ治療では中止による肝炎の再燃と長期投与による耐性が問題となる.一方,インターフェロン(IFN)の治療効果も限定的である.Serfatyらは,IFNの前にラミブジンを先行投与するいわゆるsequential治療の良好な成績を報告した.その後,多くの施設で追試が行われたが,特にgenotype Cが多数を占める本邦での成績は芳しくない.一方,若年例,急性増悪例,ラミブジン投与中のウイルスの低下が良好な症例では著効も期待できることが明らかになってきた.今後,エンテカビルやPEG-IFNの使用も含め,sequential治療の位置づけについて更なる検討が必要である.
原著
  • 小南 陽子, 大江 啓常, 小林 沙代, 内田 大輔, 沼田 紀史, 松下 浩志, 森元 裕貴, 半井 明日香, 難波 真太郎, 太田 茂, ...
    2011 年 108 巻 2 号 p. 223-230
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    大腸憩室出血部位診断における造影CT検査の有用性について検討した.対象は大腸内視鏡検査(CS)前に造影CT検査を先行したCT先行群60例と最初からCSを施行したCS単独群35例.出血部位同定率はCT先行群(73.3%,44/60)がCS単独群(51.4%,18/35)に比べて有意に高率であった.CT先行群のうち造影剤の血管外漏出像が描出できた32例中31例(96.9%)では,CSでの内視鏡的クリップ止血が可能であった.また造影CT検査で出血部位が同定できた群はできなかった群に比べて最終血便から造影CT検査までの時間が有意に短かった.CSで出血憩室を同定して内視鏡治療を可能にするためには,できる限り早期の造影CT検査を施行し,CS前に出血部位を推定することが重要と考えられた.
症例報告
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