2012 年 109 巻 7 号 p. 1133-1138
癌の一次予防について考えるとき,国際的にはWHOや世界癌研究基金(WCRF)と米国癌研究協会(AICR)による評価報告書,また,国際癌研究機関(IARC)による喫煙の評価が有用である.日本人におけるエビデンスを求める場合は,日本人を対象とした研究を総括・評価することを目的とした研究班による要因の評価の一覧がこれに相当する.消化管癌について食事要因のみではなく,喫煙や感染がリスク要因として関わっている一方,予防要因として確実なのは食事要因ではなく,運動(結腸癌)のみである.癌予防に寄与する要因について,生活習慣改善を促すための知識の普及と,未解明の要因の探求が今後必要である.