2015 年 112 巻 7 号 p. 1270-1280
クローン病(CD)の診療では内視鏡の果たす役割が大きい.ダブルバルーン内視鏡(DBE)はEGDやCSで到達できない小腸の評価に用いられる.DBEは疑診例における確定診断や,病型診断,病勢の評価に有用であるとともに,小腸狭窄の評価や内視鏡的バルーン拡張術(EBD)などが可能である.今後の課題として粘膜治癒の評価やEBD後のフォローアップ,小腸癌サーベイランスなどが挙げられるが,これらについてのエビデンスはまだ乏しい.CDの小腸病変はこれまで認識されてきた以上に多く,今後はCDと確定診断された症例であってもDBEなどで小腸病変を積極的に検索することが必要と思われる.