日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
112 巻, 7 号
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総説
今月のテーマ:クローン病診療における画像診断・内視鏡診断の活用法
  • 竹内 健, 山田 哲弘, 鈴木 康夫
    2015 年 112 巻 7 号 p. 1244-1250
    発行日: 2015/07/05
    公開日: 2015/07/05
    ジャーナル フリー
    クローン病は慢性炎症性腸疾患であり,病変は肛門病変を含め消化管に非連続性に発生する.若年者に多く発症し,経過も長いことから反復して画像検査を行う必要がある.生物学的製剤などが導入され治療方法が多様化することにより,病態把握のためにより詳細な画像評価が求められているが,被検者の身体的負担もできる限り軽減する必要がある.CT enterographyは腹部~骨盤部を一度に俯瞰できるだけではなく,腸管壁や腸管外病変も評価でき,空間・時間分解能の高い横断的画像検査方法としてクローン病の診断に非常に有用である.一方,X線被曝の低減化のためには,低線量CT導入や厳密な適応判断が求められる.
  • 藤井 俊光, 渡辺 守
    2015 年 112 巻 7 号 p. 1251-1258
    発行日: 2015/07/05
    公開日: 2015/07/05
    ジャーナル フリー
    クローン病診療においてはリアルタイムな病態把握とそれに呼応した治療戦略の構築が必須である.近年クローン病においてさまざまな画像評価法が進化している.しかしクローン病の病態評価に用いるモダリティーは精度が高いだけでなく,疾患の性質上より非侵襲的である必要がある.MRIを用いて消化管の評価も可能としたMR enterography(MRE)/MR enterocolonography(MREC)は,クローン病の腸管病変のみならず腸管外病変も同時に診断が可能で侵襲もなく,疾患モニタリングに最適なモダリティーと考えられる.読影医の育成など解決すべき問題も残されているが,今後多くの施設へ広がることが期待される.
  • 渡辺 憲治, 細見 周平, 野口 篤志, 湯川 知洋, 鎌田 紀子, 山上 博一, 富永 和作, 渡辺 俊雄, 藤原 靖弘, 根引 浩子, ...
    2015 年 112 巻 7 号 p. 1259-1269
    発行日: 2015/07/05
    公開日: 2015/07/05
    ジャーナル フリー
    既存の画像診断などで確定診断困難な小腸型クローン病(CD)の確定診断にカプセル内視鏡(CE)は有用で,transition of the small bowel lesion(TSL)はCDに特異的なCE所見である.今後,CD早期診断のためには縦走潰瘍の定義変更を検討する必要がある.大腸病変に比べ症状やCRP値と相関が乏しいCD小腸病変は,各種画像診断の特性を生かして客観的にモニタリングすることが診療の最適化に重要で,パテンシーカプセルの適正使用に基づいたCEは,低侵襲で有用な疾患活動性モニタリング法である.現存するCD内視鏡スコアには課題があり,汎用性のある新たな内視鏡スコアの開発が期待される.
  • 永山 学, 砂田 圭二郎, 矢野 智則, 小野 公平, 根本 大樹, 宮田 康史, 井野 裕治, 竹澤 敬人, 坂本 博次, 新畑 博英, ...
    2015 年 112 巻 7 号 p. 1270-1280
    発行日: 2015/07/05
    公開日: 2015/07/05
    ジャーナル フリー
    クローン病(CD)の診療では内視鏡の果たす役割が大きい.ダブルバルーン内視鏡(DBE)はEGDやCSで到達できない小腸の評価に用いられる.DBEは疑診例における確定診断や,病型診断,病勢の評価に有用であるとともに,小腸狭窄の評価や内視鏡的バルーン拡張術(EBD)などが可能である.今後の課題として粘膜治癒の評価やEBD後のフォローアップ,小腸癌サーベイランスなどが挙げられるが,これらについてのエビデンスはまだ乏しい.CDの小腸病変はこれまで認識されてきた以上に多く,今後はCDと確定診断された症例であってもDBEなどで小腸病変を積極的に検索することが必要と思われる.
座談会
原著
  • 須古 信一郎, 江口 洋之, 吉田 健一, 上原 正義, 糸島 尚, 古賀 毅彦, 村岡 正武, 工藤 康一, 上川 健太郎, 今村 治男
    2015 年 112 巻 7 号 p. 1299-1308
    発行日: 2015/07/05
    公開日: 2015/07/05
    ジャーナル フリー
    前立腺癌に対し強度変調放射線療法(intensity-modulated radiation therapy;IMRT)を施行した366例中,大腸内視鏡検査にて放射線性直腸炎と診断した24例(6.6%)を対象に,放射線性直腸炎の内視鏡所見および臨床的特徴について検討した.発症時期は治療後2~29カ月で,症状は下血が22例と最も多かった.大腸内視鏡検査において,病変範囲は直腸Rb前壁に集中する傾向にあった.病変の重症度は,多田分類0bまたはIaの症例が全症例の70.8%を占めた.IMRT後の放射線性直腸炎は発症率が低いだけでなく,臨床像,内視鏡像ともに軽度であった.
症例報告
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