日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ:アルコール性肝障害を再考する
本邦におけるアルコール性肝障害の実態
堀江 義則海老沼 浩利金井 隆典
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2015 年 112 巻 9 号 p. 1630-1640

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抄録

本邦におけるアルコール性肝硬変(Al-LC)の全国調査では,近年はアルコール消費量は漸減しているにもかかわらず,Al-LCの肝硬変の成因に占める割合は急速に増加している.糖尿病(DM),高齢,女性はAl-LCの危険因子であり,DM,年齢,男性はAl-LCからの肝発癌の危険因子と考えられる.重症アルコール性肝炎(AH)は禁酒後も肝腫大が持続する病態で,消化管出血,腎不全などの合併症をともなう予後不良な疾患である.重症AHの死亡率は52%と高いが,中等度AHにおいても死亡率は15%あり,早期からの治療介入が必要である.アルコール健康障害対策基本法に基づいた社会全体での飲酒量低減の取り組みが必要である.

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© 2015 (一財) 日本消化器病学会
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