機能性消化管障害,特に機能性ディスペプシアにおいては食物摂取がその発症に影響する.食物摂取によって消化器官から多くの分泌液や消化酵素などが分泌され,さらにその粉砕や食物との混合,さらに移送において消化管運動が誘発される.消化管ホルモンはこれらの消化吸収機能を促進する活性物質である.特に,今回取り上げたグレリン,コレシストキニン,ペプチドYYは食欲調節作用を有し,さらに胃や十二指腸など腸管運動の調節作用を有している.本稿においてはこれらの摂食ホルモンの生理作用と脳-腸相関を介する食欲と腸管運動の調節機序を示し,さらに機能性ディスペプシアとこれらの摂食ペプチドとの関連について論究した.