日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
113 巻 , 10 号
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総説
  • 本郷 道夫
    2016 年 113 巻 10 号 p. 1663-1671
    発行日: 2016/10/05
    公開日: 2016/10/05
    ジャーナル フリー

    機能性消化管障害は多元的要因による病態で,多種多様の治療アプローチがあると考えられてきた.しかし消化管粘膜の微細炎症,腸内細菌に関する多彩な研究から,機能性消化管障害は腸内細菌の異常による病態として一元的に解釈することが可能となってきた.まだすべての証拠が揃ったわけではないが,機能性消化管障害を腸内細菌叢の異常による病態としてとらえると,一元的に,そして多彩な局面を呈する病態として評価することが可能となる.経験則から提示される多彩な薬物治療も,一元的病態の多彩な局面のそれぞれの場で奏功する機序の説明が可能となってくる.機能性消化管障害を多元的病態から一元的病態として考える時代は目前である.

今月のテーマ:臨床データーからみた機能性消化管障害へのアプローチ
  • 屋嘉比 康治, 山口 菜緒美, 細見 英里子
    2016 年 113 巻 10 号 p. 1672-1681
    発行日: 2016/10/05
    公開日: 2016/10/05
    ジャーナル フリー

    機能性消化管障害,特に機能性ディスペプシアにおいては食物摂取がその発症に影響する.食物摂取によって消化器官から多くの分泌液や消化酵素などが分泌され,さらにその粉砕や食物との混合,さらに移送において消化管運動が誘発される.消化管ホルモンはこれらの消化吸収機能を促進する活性物質である.特に,今回取り上げたグレリン,コレシストキニン,ペプチドYYは食欲調節作用を有し,さらに胃や十二指腸など腸管運動の調節作用を有している.本稿においてはこれらの摂食ホルモンの生理作用と脳-腸相関を介する食欲と腸管運動の調節機序を示し,さらに機能性ディスペプシアとこれらの摂食ペプチドとの関連について論究した.

  • 大島 忠之, 三輪 洋人
    2016 年 113 巻 10 号 p. 1682-1691
    発行日: 2016/10/05
    公開日: 2016/10/05
    ジャーナル フリー

    機能性消化管障害の1つである機能性ディスペプシア(functional dyspepsia;FD)は,現在Rome IV基準によって定義され,つらいと感じる食後のもたれ感や心窩部灼熱感といった慢性の上腹部症状があるにもかかわらず器質的疾患を認めない症候群である.その病態の1つとして胃酸の関与が指摘されており,非びらん性胃食道逆流症やFDにおける酸に対する知覚過敏がディスペプシア症状発現の原因となっていると考えられている.機能性消化管障害の病態は複雑で,胃酸分泌抑制薬の効果は限定的であるが,胃酸が関わっている病態に対して効率的に酸分泌抑制薬による治療を行っていくことが重要である.

  • 栗林 志行, 保坂 浩子, 草野 元康
    2016 年 113 巻 10 号 p. 1692-1703
    発行日: 2016/10/05
    公開日: 2016/10/05
    ジャーナル フリー

    本邦では消化管機能検査は一部の施設で行われているに過ぎず,消化器内科の専門医でも精通している医師は多くなかった.しかし,近年では消化管機能検査の進歩により,本邦でも消化管運動障害への関心が高まっており,消化管機能検査を行う施設も増加している.特に食道運動障害の診療に関しては,内視鏡的筋層切開術(POEM)が本邦で開発され,内視鏡治療を専門としている施設でも食道内圧検査が普及しつつある.さらに,胃食道逆流症の診断に関しては,食道内インピーダンス/pHモニタリングが薬事承認され,臨床で使用できるようになっている.ここでは消化管運動を中心に消化管機能検査について解説する.

  • 中島 淳, 冬木 晶子, 大久保 秀則
    2016 年 113 巻 10 号 p. 1704-1710
    発行日: 2016/10/05
    公開日: 2016/10/05
    ジャーナル フリー

    機能性消化管疾患の画像検査では,静止画による間接的所見による画像検査と動画による直接所見による画像検査の2つのアプローチがある.間接的画像検査でCT検査は非常に有用であり,消化管の拡張所見の有無に加え,消化管内容物の鑑別ができるという点で有用な情報を提供してくれる.Gastroparesisや慢性偽性腸閉塞症,巨大結腸症などは上記2点に関して特徴的静止画像を呈するが,実際の消化管運動異常をみているわけではない点に注意を要する.小腸運動に関しては,シネMRIは小腸の運動を直接観察することができる非侵襲的画像検査として非常に有用であり,今後のさらなる改良が期待される.

座談会
原著
  • 柴田 道彦, 南 創太, 大江 晋司, 宮川 恒一郎, 本間 雄一, 鬼塚 良, 千手 倫夫, 日浦 政明, 原田 理子, 阿部 慎太郎, ...
    2016 年 113 巻 10 号 p. 1734-1742
    発行日: 2016/10/05
    公開日: 2016/10/05
    ジャーナル フリー

    2005年以降のHBV肝癌75人の通院状況,治療歴をHCV肝癌307人と比較検討した.HBV肝癌は,通院なし群40.0%,内科群21.3%,消化器科群22.7%,肝臓専門医群16.0%で,HCV肝癌に比べ通院なし群が1.9倍,肝臓専門医群が0.6倍であった.HBV感染の非認識率と非通院率は21.3%と33.3%で,HCV肝癌に比べ各々2倍であった.核酸アナログ製剤服用は肝臓専門医群で66.7%であったが,消化器科群と内科群では約6.0%で,いずれも耐性株が出現したままラミブジンが投与されていた.HBV肝癌は,“非認識”,“非通院”,“適切な治療を受けていない”という傾向が明らかであった.

症例報告
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