日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原著
急性食道粘膜病変(acute esophageal mucosal lesion;AEML)の成因に関する検討
井原 勇太郎檜沢 一興藤田 恒平松野 雄一佐久間 努江崎 幹宏飯田 三雄
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2016 年 113 巻 4 号 p. 642-646

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抄録

【目的】急性食道粘膜病変の成因を明らかにする.【方法】急性食道粘膜病変と診断した23例を対象に,黒色食道(B群)17例と非黒色食道(NB群)6例の臨床背景,内視鏡時期,血液検査値を比較した.【結果】22例96%が循環不全を示唆する基礎疾患を有し,内視鏡所見は食道裂孔ヘルニアを13例57%,十二指腸潰瘍を9例39%に合併していたが,両群間で差はなかった.しかしB群はNB群と比較し内視鏡時期が早く,検査所見でLactate,BUN,Cr,BSが高値であった.【結語】急性食道粘膜病変の発症には循環不全と胃酸逆流が推定されるが,黒色食道は発症早期に出現し,より高血糖や腎不全による循環障害の関与が示唆された.

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© 2016 (一財) 日本消化器病学会
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