日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
113 巻, 4 号
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総説
  • 安田 一朗
    2016 年 113 巻 4 号 p. 585-593
    発行日: 2016/04/05
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    総胆管結石に対しては,現在多くの施設で内視鏡治療が第一選択として行われている.ESTに引き続きバスケット/バルーンカテーテルで結石を除去する方法が標準手技であるが,種々の原因により治療困難な状況がある.胆管挿管困難,大結石,嵌頓結石,術後腸管再建例などが主な理由であるが,大結石に対しては従来の機械的砕石に加えて,経口胆道鏡下砕石,ESWL,さらに最近では大口径バルーンによる乳頭拡張術が行われており,術後再建腸管例に対しては小腸内視鏡によるアプローチが普及し,さらに最近ではEUSガイド下の治療手技も開発されている.本稿ではこうした治療困難胆管結石例に対する内視鏡治療の最近の進歩について解説する.
今月のテーマ:胆膵内視鏡診療の最前線
  • 辻 修二郎, 糸井 隆夫, 梅田 純子, 永川 裕一, 土田 明彦, 森安 史典
    2016 年 113 巻 4 号 p. 594-602
    発行日: 2016/04/05
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    本邦においては閉塞性黄疸合併の膵頭部癌や遠位胆管癌,乳頭部癌などの遠位悪性胆道狭窄症例に対して,術前減黄術が慣例的に行われている.しかし近年,欧米では術前ドレナージ(PBD)不要論があり,ステント選択においても自己拡張型金属ステントが選択されつつある.現状のエビデンスでの結論としては,①プラスチックステントによるPBDは高率にステント関連の感染による合併症を生じる,②PBDの適応は切除可能な有症状黄疸や胆管炎合併例か術前補助化学療法予定の症例となる,③ステント開存において金属ステントは胆管ステントよりも優れる可能性がある,とされている.今後更に質の高い,金属ステントを用いたPBDと直接手術の前向き比較試験が望まれる.
  • 潟沼 朗生, 真口 宏介, 矢根 圭, 金 俊文, 五十嵐 聡, 山崎 大, 北川 洸, 古賀 英彬, 横山 健介, 佐野 逸紀, 永井 一 ...
    2016 年 113 巻 4 号 p. 603-613
    発行日: 2016/04/05
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    術後再建腸管に対するERCPは,解剖学的な構造により,これまでは困難な手技とされてきた.しかしながらバルーン内視鏡(balloon assisted enteroscopy;BAE)の登場は,困難な状況を一変させた.BAEにより目的部位への到達率は69~100%,挿管成功率は66.7~100%,手技成功率は61.5~100%,偶発症率は0~25.8%と良好な成績が報告されている.BAEを用いた術後再建腸管に対するERCPは依然として難易度の高い手技であり,内視鏡長,鉗子口径によっては使用可能な処置具に制限を受けるが,今後もさらに発展が期待される手技である.
  • 入澤 篤志, 澁川 悟朗, 星 恒輝, 山部 茜子, 藤澤 真理子, 五十嵐 亮, 佐藤 愛, 池田 恒彦, 牧 匠
    2016 年 113 巻 4 号 p. 614-624
    発行日: 2016/04/05
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    近年,超音波内視鏡(EUS)下穿刺術を応用したさまざまな治療手技が開発され実施されている.その方法論としては,“ドレナージ”および“薬剤等注入や特殊デバイスによる焼灼”の大きく2つに分類される.ドレナージとしてはwalled-off necrosisや閉塞性黄疸などに対する治療が広く行われている.注入・焼灼治療に関しては,癌性疼痛に対する腹腔神経叢破壊術や,膵腫瘍内への薬剤・免疫細胞の注入治療,さらには膵腫瘍のラジオ波焼灼治療も施行されている.また最近では,膵癌による十二指腸閉塞に対して,EUSを用いた胃空腸瘻孔形成術も施行され始めた.EUS下穿刺治療は今後のさらなる発展が期待される分野である.
座談会
原著
  • 井原 勇太郎, 檜沢 一興, 藤田 恒平, 松野 雄一, 佐久間 努, 江崎 幹宏, 飯田 三雄
    2016 年 113 巻 4 号 p. 642-646
    発行日: 2016/04/05
    公開日: 2016/04/05
    ジャーナル フリー
    【目的】急性食道粘膜病変の成因を明らかにする.【方法】急性食道粘膜病変と診断した23例を対象に,黒色食道(B群)17例と非黒色食道(NB群)6例の臨床背景,内視鏡時期,血液検査値を比較した.【結果】22例96%が循環不全を示唆する基礎疾患を有し,内視鏡所見は食道裂孔ヘルニアを13例57%,十二指腸潰瘍を9例39%に合併していたが,両群間で差はなかった.しかしB群はNB群と比較し内視鏡時期が早く,検査所見でLactate,BUN,Cr,BSが高値であった.【結語】急性食道粘膜病変の発症には循環不全と胃酸逆流が推定されるが,黒色食道は発症早期に出現し,より高血糖や腎不全による循環障害の関与が示唆された.
症例報告
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