家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis;FAP)は,放置しておくと100%大腸癌を発症する,大腸癌超ハイリスク疾患である.ただし,実際に診療している施設は限定的で,実際の対応に苦慮する臨床医も多い.大腸癌研究会より「遺伝性大腸癌診療ガイドライン」が2012年に刊行され,2016年秋に改訂された.海外および日本のエビデンスが整理され,日常診療で大変役立つ情報源が整理・提示された.本稿ではガイドラインでのFAPに関する記載に関しての注意点,多発腺腫性ポリープの取り扱い,および実際の症例を供覧する.