NASHの新規診断・治療法確立のため,NASHの病態の解明が急務である.国内外におけるNASHへの関心は高まる一方であり,2014年にはわが国のガイドラインが発行された.私たちは早くからNASHに着目し,基礎的アプローチを中心にNASHに関する研究を行い,肝特異的Ptenノックアウトマウスは新規NASH動物モデルとして注目された.NASHの発症には遺伝的因子,肥満・糖尿病を背景とした脂肪毒性と生体ストレスが関与し,肝臓のみならず脂肪組織や腸管など肝外臓器も含む臓器間ネットワークが病態の形成に影響している.さらにオートファジー,アディポサイトカインなどのシグナル,自然免疫の変調など極めて多くの因子が関わっていることが明らかになってきている.