日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
特別寄稿―第103回総会会長講演―
NASHを考える
渡辺 純夫今 一義池嶋 健一
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2018 年 115 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

NASHの新規診断・治療法確立のため,NASHの病態の解明が急務である.国内外におけるNASHへの関心は高まる一方であり,2014年にはわが国のガイドラインが発行された.私たちは早くからNASHに着目し,基礎的アプローチを中心にNASHに関する研究を行い,肝特異的Ptenノックアウトマウスは新規NASH動物モデルとして注目された.NASHの発症には遺伝的因子,肥満・糖尿病を背景とした脂肪毒性と生体ストレスが関与し,肝臓のみならず脂肪組織や腸管など肝外臓器も含む臓器間ネットワークが病態の形成に影響している.さらにオートファジー,アディポサイトカインなどのシグナル,自然免疫の変調など極めて多くの因子が関わっていることが明らかになってきている.

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© 2018 (一財) 日本消化器病学会
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