日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
総説
B型肝炎治療の進歩
横須賀 收
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2018 年 115 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

B型肝炎はHBVの増殖能とウイルスに対するヒトの免疫能のバランスにより,無症候性キャリアから肝がんまでさまざまな病期,病態が決定される.近年,核酸アナログ製剤や各種IFN治療法の開発により,ウイルス増殖を強力に抑え込み,炎症を抑えることは可能となってきたが,発がんを完全に防止するまでには至っていない.HBV治癒の最終目標である肝内のHBV DNAの完全排除は現時点では困難であることから,機能的治癒の目標としてHBsAgの陰性化を設定することにコンセンサスが形成されつつある.B型肝炎治療の進歩は,いいかえれば,ウイルスの増殖過程を明らかにして抑制し,生体側の反応をコントロールして排除する過程である.本稿ではB型肝炎治療の現状の進歩と今後の進展について述べてみたい.

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© 2018 (一財) 日本消化器病学会
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