日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
115 巻 , 1 号
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特別寄稿―第103回総会会長講演―
  • 渡辺 純夫, 今 一義, 池嶋 健一
    2018 年 115 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2018/01/05
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー

    NASHの新規診断・治療法確立のため,NASHの病態の解明が急務である.国内外におけるNASHへの関心は高まる一方であり,2014年にはわが国のガイドラインが発行された.私たちは早くからNASHに着目し,基礎的アプローチを中心にNASHに関する研究を行い,肝特異的Ptenノックアウトマウスは新規NASH動物モデルとして注目された.NASHの発症には遺伝的因子,肥満・糖尿病を背景とした脂肪毒性と生体ストレスが関与し,肝臓のみならず脂肪組織や腸管など肝外臓器も含む臓器間ネットワークが病態の形成に影響している.さらにオートファジー,アディポサイトカインなどのシグナル,自然免疫の変調など極めて多くの因子が関わっていることが明らかになってきている.

総説
  • 横須賀 收
    2018 年 115 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー

    B型肝炎はHBVの増殖能とウイルスに対するヒトの免疫能のバランスにより,無症候性キャリアから肝がんまでさまざまな病期,病態が決定される.近年,核酸アナログ製剤や各種IFN治療法の開発により,ウイルス増殖を強力に抑え込み,炎症を抑えることは可能となってきたが,発がんを完全に防止するまでには至っていない.HBV治癒の最終目標である肝内のHBV DNAの完全排除は現時点では困難であることから,機能的治癒の目標としてHBsAgの陰性化を設定することにコンセンサスが形成されつつある.B型肝炎治療の進歩は,いいかえれば,ウイルスの増殖過程を明らかにして抑制し,生体側の反応をコントロールして排除する過程である.本稿ではB型肝炎治療の現状の進歩と今後の進展について述べてみたい.

今月のテーマ:B型肝炎診療up-to-date
  • 八橋 弘
    2018 年 115 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2018/01/05
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー

    ALT値が31IU/L以上でかつHBVDNA量が2000IU/mL(3.3logIU/mL)以上の2つの条件をともに満たせば治療対象として考え,そうでない場合には経過観察とするというのが,B型肝炎の治療対象に関する最新の考え方である.一方,肝硬変の場合には,ALT値の値に関係なくHBVDNA量が検出されるレベル,HBVDNA量が陽性の場合には治療対象として考える.

  • 保坂 哲也, 鈴木 文孝, 熊田 博光
    2018 年 115 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2018/01/05
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー

    B型慢性肝炎に対する抗ウイルス療法は,現在インターフェロン(IFN)療法と核酸アナログ製剤が主体となっている.特に核酸アナログ製剤の治療効果は高く,エンテカビル(ETV)承認後はや耐性ウイルスの出現は低率となり,アデホビル(ADV)やテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)承認後は,耐性ウイルスに対するレスキューもほとんどの症例で可能となった.また肝発癌をきたす症例は核酸アナログ投与により減少しつつある.しかしながら核酸アナログ製剤によるHBs抗原陰性化はいまだ低率である.さらに治療期間が10年以上の症例も増加しており,症例の高齢化や,腎機能や骨への影響といった新たな問題に直面してきている.

  • 持田 智
    2018 年 115 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2018/01/05
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー

    HBVが肝細胞に感染すると,核内にcccDNAが形成され,これが肝炎治癒後も残存する.このためHBs抗原陽性キャリアのみならず,HBs抗原陰性,HBc抗体ないしHBs抗体陽性の既往感染例でも,免疫抑制・化学療法後には血清HBV-DNA量が高値となり,肝炎を発症する場合がある.日本肝臓学会のガイドラインでは,免疫抑制・化学療法を実施する際には,HBs抗原陽性キャリアでは核酸アナログを予防投与し,既往感染例ではHBV-DNA測定によるモニタリングを行い,血清HBV-DNA量が20IU/mL以上になった場合に核酸アナログ投与を推奨している.しかし,厚生労働省研究班による全国調査では,B型急性肝不全の50%以上が医原病であり,ガイドライン非遵守例が根絶されていない.HBV再活性化に関する啓発活動を続ける必要がある.

  • 加藤 直也
    2018 年 115 巻 1 号 p. 44-54
    発行日: 2018/01/05
    公開日: 2018/01/22
    ジャーナル フリー

    B型肝炎に対する新規治療法の開発が進んでいる.直接的抗ウイルス薬としては,エントリー阻害薬,核酸医薬,コア/カプシド形成阻害薬などが開発途上にある.宿主を標的とした抗ウイルス薬としては,免疫賦活薬,サイクロフィリン阻害薬,アポトーシス促進薬などが開発途上にある.B型肝炎の治療目標はfunctional cure,すなわちHBs抗原の陰性化であるが,上記の薬剤をもってしてもこの目標を達成することは難しい.インターフェロンや核酸アナログとの併用療法がしばらくは現実的であるが,それでもなおHBs抗原陰性化の目標達成は容易でなく,今なお新しい概念に基づく治療法開発が切望されている.

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