2019 年 116 巻 9 号 p. 724-731
米国のSEER databaseによれば,神経内分泌腫瘍(NEN)の遠隔転移の生存期間は原発臓器によって異なり,たとえば結腸原発では中央値で5カ月とされている.また2007年の全国集計では,膵NENの発症年齢は50歳代と若く,初診時に遠隔転移を4割に認め,その5年生存率は39%と報告されている.当時は使用できる薬物がなく,進行病期においては減量手術が全盛であった.しかしながら,2011年以降に分子標的療法を含む新しい薬物が次々と保険適応になり,治療戦略のパラダイムシフトがおきた.今後は現在当院で治験を行っている放射線内用療法(PRRT)を含め,さらに治療選択が広がっていくことが予想される.