日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総論):炎症性腸疾患における免疫調節薬の有用性と課題
炎症性腸疾患における治療前スクリーニング―NUDT15遺伝子多型測定の意義と課題―
角田 洋一木内 喜孝正宗 淳
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2020 年 117 巻 3 号 p. 195-207

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抄録

チオプリン製剤の投与の可否あるいは服用量の決定に有用なNUDT15遺伝子多型検査が実用化された.NUDT15はチオプリンの最終活性代謝産物を代謝する酵素で,その機能を低下させるコドン139の遺伝子多型がチオプリンによる一部の副作用の原因となっている.Cys/Cys型の患者はチオプリンを継続した場合に高度の白血球減少や全脱毛が必発のため服用を回避する.またArg/Cys型の患者は用量を減量すると服用は可能であるが,適切な用量とモニタリング方法については今後の課題である.より安全にチオプリンを活用するため,新たに治療を開始する場合は,必ず事前に遺伝子検査をして治療計画を立てることが求められる.

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