日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ(総説):炎症性腸疾患における免疫調節薬の有用性と課題
炎症性腸疾患治療における免疫調節薬の位置づけと使用の実際
仲瀬 裕志
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2020 年 117 巻 3 号 p. 208-213

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抄録

炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)患者の増加にともない,難治例に対して免疫調節薬ならびに生物学的製剤を使用する頻度が増加している.現在,免疫調節薬を使用する理由は,主として(1)コルチコステロイドの減量,(2)生物学的製剤使用時の抗体産生抑制を目的としている.近年,急激な脱毛,白血球減少などのチオプリン製剤の副作用に関する遺伝子も報告された.さらに,riskとbenefitを踏まえた上で,チオプリン製剤の妊婦における使用が可能となった.IBD治療は生物学的製剤の時代ではあるが,われわれ臨床医はチオプリン製剤の有用性を改めて認識する必要がある.

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© 2020 (一財) 日本消化器病学会
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