2021 年 118 巻 11 号 p. 1024-1031
大腸癌腹膜播種は肝転移や肺転移と比較し予後不良な病態であるが,近年の全身化学療法の発展にともない治療成績は向上してきている.切除可能なP1,P2症例の治療方針に関しては,切除の有効性が本邦の多施設研究より報告されており,ガイドラインでも切除が推奨されている.P3症例に対しては本邦での標準治療は全身化学療法であり,ガイドラインで推奨される切除不能大腸癌に対する薬物療法を施行することが推奨される.海外では大腸癌腹膜播種および腹膜偽粘液腫の治療として,完全減量切除および腹腔内温熱化学療法が専門施設に集約され広く行われるようになり,その良好な成績が数多く報告されており,今後の治療成績の発展において注目される.