2021 年 118 巻 11 号 p. 1032-1037
直腸癌骨盤内局所再発は,進行下部直腸癌の最も多い再発の1つである.重要臓器の再発ではないため直腸癌局所再発のみで死亡することはないが,長期間の闘病,神経浸潤などによる疼痛,局所の感染や出血など,QOL低下を招く.再発形式に則った治療戦略が重要であるが,いかに局所を確実に切除できるかがポイントとなる.化学放射線療法など集学的治療を用いた積極的な拡大手術により,切除断端に癌を露出させることなく腫瘍を周辺臓器とともに一塊として切除する.極めて侵襲の大きな手術であるため,多くの経験を積んだ専門施設での治療が望ましい.