日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):アルコールと肝疾患up to date
アルコールと肝疾患―診断と治療―
江口 暁子岩佐 元雄
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 119 巻 1 号 p. 23-29

詳細
抄録

アルコール性肝障害の診断は,純エタノール60g/日以上で5年以上の飲酒歴,血清γ-GTP高値,AST>ALT,禁酒によりAST,γ-GTP,肝腫大が改善することにより行う.飲酒量の推定(問診の補完)には糖鎖欠損トランスフェリンの測定が有用であり,保険適用が望まれる.治療の根幹は断酒や減酒とその継続であり,その他の治療は補助的である.重症アルコール性肝炎では断酒後の死亡例も認め,副腎皮質ホルモンの投与や集学的治療が必要になる.肝硬変はタンパクエネルギー低栄養やサルコペニアが合併する頻度が高く,高タンパク・高エネルギー食を与える.アルコール依存症の場合には,アルコール依存症専門医や自助団体と連携する.

著者関連情報
© 2022 (一財) 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top