日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
症例報告
ゲノム解析により膵管内乳頭粘液性腫瘍併存癌の初期像と診断し得た1例
佐藤 允洋唐崎 秀則富永 素矢坂本 淳木村 圭介太田 智之田中 伸哉水上 裕輔
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2022 年 119 巻 4 号 p. 368-376

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抄録

症例は70歳代男性.膵頭体部の分枝型IPMNの経過観察中に膵炎を繰り返し,囊胞径の増大を認め切除した.囊胞性病変はすべて病理学的に低異型IPMNであり,病変間に連続性はなく,これらと離れた膵切除断端に上皮内癌を認めた.遺伝子解析の結果,上皮内癌はIPMNとは異なるクローンに由来する併存癌の初期像と考えられた.併存癌の早期診断のためには,病理学的解析に加えゲノム異常を明らかにすることが重要と考えられた.

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© 2022 (一財) 日本消化器病学会
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