日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
症例報告
漏出性乳糜胸水をきたした原発性胆汁性胆管炎による肝硬変の1例
須永 将梧岡村 幸重近藤 まゆ子北川 清宏野田 まりん久武 祐太寺元 研東澤 俊彦関根 忠一
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2022 年 119 巻 4 号 p. 377-384

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抄録

原発性胆汁性胆管炎による肝硬変と心不全を併存する70歳女性の呼吸困難.右片側性漏出性乳糜胸水を認め,外傷や悪性疾患は否定的であり,原因として肝硬変が挙げられた.集学的な内科治療で自然軽快を認め,特に非選択的β遮断薬であるカルベジロールによる門脈圧降下作用が胸管内圧を減少させて病態に寄与したことが示唆された.肝硬変に乳糜胸水を併発する症例はまれであり,また保存的加療で奏功し得た1例として報告する.

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© 2022 (一財) 日本消化器病学会
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