消化性潰瘍の治療には,基本的に酸分泌抑制剤が使用されるが,その成因をもとにH. pylori感染の有無,NSAIDs(アスピリンを含む)服用歴の有無によって4群に分けることが,治療反応性,その後の再発リスクを予測するのに有用である.H. pylori単独潰瘍は,4群のなかでは最も治療反応性が高く,除菌治療によって再発はまれとなる.NSAIDs潰瘍(H. pylori陽性,陰性にかかわらず)は,治療抵抗性を示すことがあるが,原因薬剤の休止によって再発を抑制できる.H. pylori陰性,NSAIDs陰性のものは,原因が特定されず特発性潰瘍とも呼ばれ,治療抵抗性を示し,再発も多い.特発性潰瘍は世界的に増加傾向にあり,本邦でも今後臨床的に問題となってくると予想される.