2023 年 120 巻 8 号 p. 658-661
膵癌はいまだに難治癌の1つである.切除不能な理由として局所進行,もしくは遠隔転移を有していることが挙げられる.近年,集学的治療の進歩によりconversion surgeryが行われる機会が増加し,その有用性が多数報告されている.しかし,至適レジメン,切除適応,切除タイミングに関する一定の見解はなく,各施設で独自に判断され行われているのが現状である.また,conversion surgeryの有用性が報告される一方で,術後の早期再発の報告もあり,真の恩恵にあずかることができる症例の選別が必要と考えられる.本稿ではconversion surgeryの現状と課題に関して概説する.