2025 年 122 巻 7 号 p. 445-457
分子標的治療薬の登場により炎症性腸疾患の診療は大きく進歩し,treat to target(T2T)ストラテジーが提唱され,外科手術率は低下傾向にある.疾患活動性モニタリングに必要な便や血清などを用いた非侵襲的バイオマーカーの開発も著しい.腸管エコーをはじめとした非侵襲的画像検査の導入も進んでいる.新たに発見された血清抗インテグリンαVβ6抗体は潰瘍性大腸炎の診断マーカー,発症予測マーカーになりうるのではないかと期待されている.今後の課題は,クローン病の小腸病変・肛門病変や高齢発症潰瘍性大腸炎のマネージメント,分子標的治療薬選択に有用なバイオマーカーの確立などがあげられる.